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二日目に続き、快晴となった展示会会期の最終日。今日で会期終了ということもあって、午前中から多くの来場者が訪れた。スーツ姿の人が多く、企業関係のユーザーが業界の動向を探るべく会場に足を運んでいるのが印象的だ。 |
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展示会会期の最終日、通算六本目の基調講演は、富士通株式会社 代表取締役会長であり、財団法人インターネット協会 理事長を務める秋草直之氏が「情報システムの新しい潮流 〜フィールド・イノベーション〜」と題した内容で行った。ネットワークが浸透した現在の状況について、ネットワーク全体の信頼性やアプリケーションの連携がより重要になっていると語り、「ネットワーク社会全体を、ひとつの生態系として捉える必要がある」との論を述べた。
新たな情報は現場から生まれ、最前線から変化が起こっている現状を紹介し、フィールド・イノベーションが進んでいることを解説。同時に、こうした状況の後ろにある隠れたインパクトとして半導体産業(特にマイクロコントローラ)の成長を挙げた。インターネットや半導体の浸透によってIT活用の新しい流れが生まれ、これまでは企業の論理を主に進められてきたシステムやサービスの構築が、今後はユーザーや現場(フィールド)からの要請に基づいて行われていく、すなわち社会の論理によって進められていくことになると語った。
インターネットの利用者が全世界で10億人を超え、サービスの拡大と共にトラフィックも増大している。そのなかでシステムに対する要求も高度化し、「止めない(24時間365日連続稼動)」ことが求められている。一方でオープン化された製品同士を組み合わせることによる信頼性の確保にはどうしても限界がある。秋草氏は、この点を企業/ユーザーとも意識を改める必要があると言い、富士通の取り組みを交えながら、これからのネットワークシステムに求められる事柄をわかりやすくまとめた。
最後に、問題提起として、今後より雑多な機器や製品がネットワークに接続するようになることは、すなわち不確定要素の増加を意味し、これまで以上にシステムの品質や信頼性が求められるようになると語った。そして、新しいネットワーク時代を迎えるにあたり、企業と生活者のネットワークが融合していくこと、ネットワークは“生態系”になっていくこと、そしてテクノロジーの進歩と人の心のギャップを埋める努力が求められることを述べ、新たな時代への展望と期待を示しながら講演を締めくくった。
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今年の基調講演で、ただ一人日本の企業・団体からの出席者となった秋草氏。自身のインターネットとの関わりを通して、これからのネットワーク社会への現実的な展望を示した。 |
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既存の電話に代わるインフラとして急ピッチで普及しているVoIPだが、事件や事故、特に大規模災害時での通話に問題は発生しないのだろうか。これは、今回のVoIP ShowCaseのメインテーマ「実用化ステージの到来」とは切り離せないポイントだ。7月2日、VoIP ShowCaseに併設されたステージにおいて、VoIP推進協議会によるテスト結果の報告が行われたのでお伝えしよう。
| VoIP推進協議会 TAO研究開発WG副主査の(株)東陽テクニカ 小野寺充氏によって「災害発生時のVoIP音声品質の検討と評価」をテーマにしたプレゼンテーションが行われた。
今後導入の進むことが予想されるVoIPにとって、緊急・重要通信基礎技術の検証は必要性が高いという。そこでVoIP推進評議会は、このテーマについて研究を進めている。最近は災害時の通話は固定電話よりも携帯電話から行われる傾向にある。このためVoIPと携帯電話を比較した形での通話品質や発呼テストを実施した。 |
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| 実験では2つのネットワークを接続し、中間でネットワーク遅延・パケットロスを人為的に発生させている。異なる条件化でネットワーク負荷を高め、±3の主観評価(携帯電話を0とした場合)およびアナライザによる客観評価を行っている。 |
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結果はネットワーク負荷が80%を超えた点から急激に品質が落ちるが、90%でも携帯電話の通常会話に近い評価となっている。 |
発呼に関しても通話品質とほぼ同様の状況下で、H.323とSIPそれぞれのテストを行った。Ringing(着信ベルが鳴るまで)は大きな変動は見られない。しかし通話開始まではネットワーク負荷が80%を超えた地点から大きな遅延が発生するという結果となった。
今回のテストによって、高負荷時におけるVoIPの接続・通話の特性を捉えることができたという。実際の環境下での負荷テストや災害発生時の発呼集中の検証が今後の課題として挙げられた。このようなセッションが行われるようになったことは、VoIPが特殊な電話環境ではなく正に実用化のステージに移行しつつあることを感じさせるものだ。 |
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展示会最終日、最後となる基調講演は、ノキアコーポレーションのメアリーT・マクドウェル氏によって「ビジネス・モビリティの将来」をテーマに行われた。
「企業内だけでなくさまざまな場所やデバイスからネットワークにアクセスできる、モビリティを持ったビジネス形態が求められている」とマクドウェル氏は語った。これはビジネスマンの多くが仕事と余暇のバランスを保つことにとって重要だと感じており、モビリティはそれを実現するためのひとつの手段であると言う。
しかし、企業内のIT担当者にとっては対処すべき要素が増え、経営者にとっては生産性を高めた上でのコスト削減といった問題を解消していく必要が出てくるだろうとマクドウェル氏は続ける。ノキアはこれまで携帯電話市場ではワイヤレスと音声、そして企業向けのネットワークではセキュアな接続といった技術を得ている。これらの技術をベースとして、モバイルビジネスシーンに必要なワイヤレスでデータを扱うための技術を提供する、と語った。
高速ネットワークの敷設や無線LANの普及によって、日本では企業外からの接続が容易に行える環境が整いつつある。しかし企業内の情報を外部からアクセスする際のセキュリティの重要性は見過ごされがちだ。企業単位でのセキュアなモビリティのあるビジネス形態を導入する必要性を感じさせられた講演となった。
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モバイルビジネスによって得られるメリットと今後の課題について語る、ノキアコーポレーション エンタープライズ・ソリューションズ 上級副社長兼ジェネラルマネージャーのメアリーT・マクドウェル氏。 |
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閉会間際のSecurity ShowCaseのステージで、「ハッカー検事」大橋充直氏によるセッション「ハイテク犯罪の課題と展望」が催された。現在、ハイテク犯罪と呼ばれているものは、そのほとんどがコンピュータやネットワークを悪用しているだけで、旧来からあるローテクな犯罪そのものである、と大橋氏は語る。これまでモラルを持った技術者やPCユーザーがメインユーザーだったインターネットだが、そこに接続できる一般人の数が増えたことが犯罪件数のアップの原因であるという。実社会でも構成人数が増えれば犯罪件数が比例することとまったく同じ現象がインターネットに起こっているのだ。さらに携帯電話や個人PCの所有率が上がったことにより、犯罪の国際化や加害者・被害者の年齢の垣根が崩れてきている指摘した。
| さまざまな事件の報道がなされている昨今、興味を引くテーマということもあり非常に多くの来場者が詰め掛けた。 |
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「正しいネットワーク知識とモラルの教育がネットワーク上の犯罪を減少させる方法だ」と熱を込めて語る「ハッカー検事」大橋氏。 |
現在増加傾向にあるのがネットポルノとネット詐欺の2つ。児童売買春の問題の一旦は、インターネットの普及によって、親の監視の届かないところで児童が容易に他者と連絡を取れる環境ができてしまったことにあると言う。そこで必要なのは、児童が出会い系サイトなどに接続しないというモラルをきちんと教育することだと大橋氏は指摘した。さらにポルノ画像の売買については、犯人を検挙しても写真データそのものはネットワーク上で複製され、被害が拡散するという新たな問題をも生んでいるという。
これに対してネット詐欺は、従来型の犯罪がインターネットを使うことで少人数化の方向に進んでいると指摘する。インターネット以前は手作業で架空請求書を作っていたため、件数としては大きなものにならなかった。しかし簡単に同報送信可能なメールソフトを使えば、1人でも組織型の犯罪を行える環境ができてしまったというわけだ。
| ハイテク犯罪を分類した場合、不正アクセスやコンピュータへの攻撃の割合は低く、実際にはネットワークを利用しただけの従来型の犯罪がほとんどを占めるという。 |
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さらに、最近話題となった小学生の掲示板利用についても言及した。メールや掲示板といった文字ベースのコミュニケーションでは顔が見えないため、相手が本当にどう思っているかが非常に伝わりにくい。大橋氏は「検事らしくない」といわれながらも、仕事のメールにもフェイスマークを書き込んで、文章と同時に感情も伝える努力をしているという。ビジネス文書をメールでやり取りしていても、最終的には直接会ったり電話などで確認しあう。このようにネットワーク外で直接コミュニケーションをとることが、ひとつのセキュリティになると大橋氏は結論づけた。
知識によるセキュリティ、教育によるセキュリティ、そして会話によるセキュリティ。ネットワークを繋げるNetWorld+Interop 2004 Tokyoの締めくくりとして、ネットワークの向こう側に人がいるという事実の再認識の必要性を感じさせるセッションだった。 |
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会期全体を振り返ると、IPv6やVoIPといった技術はより具体的な利用段階に移り、さまざまなソリューションが展示された。また、ブロードバンドについても社会のインフラとして認知され、今後さらに浸透していくことが実感できた。セキュリティについても多様な製品が登場すると同時に、企業・ユーザーとも意識を新たにして取り組んでいく必要性が確かめられた。
今年は、コンファレンスはもとより展示会場でも、実用段階に入った各技術や製品、サービスが多く取り上げられ、日本のネットワーク環境が新たなステージに移行していることを直に感じられるイベントになったと言える 。展示会会期の三日間で会場を訪れた人は15万人を超え、世界的に見ても非常に大規模なイベントとなっているNetWorld+Interop。そこで提示された将来へのビジョンは、社会の中で確実に育っていくはずだ。
進歩の早いIT業界の最先端を知る最良の機会として、このイベントの意義は大きい。来年に向けて、ここで見ることができた数々の製品や技術、サービスはさらに改良・改善されていくだろう。そして、そこから生まれる新たな展開は、来年のNetWorld+Interopで紹介されるはずだ。今年会場を訪れた人も、今回は残念ながら来れなかった人も、すでに来年のNetWorld+Interopへの期待を寄せているのではないだろうか。ぜひ、来年も会場に足を運び、次の世代を担うネットワークの最前線を体験してほしい。 |
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