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インターネットという環境が商用利用されるようになってちょうど10年。それは、NetWorld+Interopが始まってから歩んできた10年でもある。その間に、インターネットを取り巻く社会や人々の意識は大きく変わり、今ではごく日常の存在になりつつある。その一方で克服すべき課題や、新たな挑戦も生まれ、先端をゆく技術者や研究者の取り組みも続いている。現在のインターネット時代を形作る上で欠かせないものとして機能してきたNetWorld+Interopというイベントについて、そして日本がこれからインターネット市場で果たすことになる役割について、本イベントの実行委員としても関わりを持つ村井純氏に語っていただいた。 |
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| 写真:弘田充 |
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インターネットは、それぞれのネットワークが相互につながって、デジタル情報をやり取りする地球全体の基盤を作っていくという役割を持っています。しかしながら、インターネットの哲学とも言える自律分散システムは、そう簡単にはうまく機能しません。みんな自分の守備範囲はしっかりやるのですが、全体としてうまく動くシステムを構築するのは難しいのです。協調してやることの難しさを克服する必要があり、それは全体のコンセンサスをどうやって作り上げていくかということの難しさでもあります。
自律分散システムは、よく動物のパラダイム(行動様式)で例えられます。シマウマが、ライオンに攻められたときに内側を向いて円陣を組み、後ろ足のキックで群れを守るといった行為はひとつの例ですが、こういう状況ではこのように行動せよという約束事は、シマウマの遺伝子に組み込まれているのでしょう。ところが、これを知らないシマウマが出てきてしまうと、群れ全体のリスクが増大してしまいます。そうはならずに行動が一致しているのは、遺伝子的な情報のやり取りが行われているからこそだと思います。しかしインターネットのような自律分散システムにおける全体のコンセンサスは、このように遺伝子的に流布させることはできない。だから難しいんですね。
もうひとつ重要なことは、自律分散システムの構築には、技術的な部分での協調性が保たれなければいけないということです。つまり、インターオペラビリティ(相互接続性、相互運用性)の実現が大切ですが、これを実施するための場が少ないために、うまくいかないのが一般的です。
NetWorld+Interop(以下Interop)は、インターネットの世界で重要なインターオペラビリティをきちんと議論して、実際にやってみるということを第一回目から取り組んでいる、言わば「協調」の拠り所として機能してきました。インターネット全体のコンセンサスを形成する場として、最初から特別な役割を担っていたと言えます。民間の方が集い、制約がない環境の中で、主催者はインターオペラビリティがうまくいくことを願い、来場者は参加することから得た経験で具体的な成果を上げていく。Interopは、まさにインターネットの発展における最も本質的な役割を担ってきたのです。 |
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今では、相互接続運用の重要性は、いやというほどわかってきています。インターネットに関わる人には、インターオペラビリティが重要だということが遺伝子的に染み込んでわかってくるようになりました。ですから、そうした普遍的な事柄はもう取り上げなくてもよいのではないか、とも思えますが、一方で新しい技術や製品が出てきたら、それらについて新たに検証する必要が生じます。したがって、大規模なトレードショーとしての役割を持ちながら、同時にインターオペラビリティが大切だと主張し、実践していくことは、とても大事なのです。
日本のInteropは、ShowCaseでもなんでも、新しい考え方や技術を相互運用の観点から検証してみんなに見せるという姿勢を忘れていないと思います。だからこそ、これまでの10年を超えて新たな10年に踏み出すまで、脈々と続いてきたのではないでしょうか。これはコンファレンスもそうですね。新しい技術をみんなで理解し、みんなで考えるという姿勢はとても大切です。
インターネットに関する新しい課題やアーキテクチャが出てきたときに、私たちは本当にコンセンサスをきちんと作り上げていくことができるのか。その意味で、Interopがインターオペラビリティのテストができるということを軸に据えているのは重要なポイントであると思います。これまでの10年は、いわゆる遺伝子がない状態の中で協調性を作り出す役割を担ってきたイベントが、ひとまずベーシックな遺伝子のようなものを作り上げることができたから、今度は新しいことに挑戦していかなければいけないということでしょう。これまでよりも少し成長した、大人の役割を担うようになるのかなと思っています。 |
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